新不動産登記法Q&A No.18
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縄伸び、縄縮みとは

Question

知人から聞いた話ですが、「土地を測量したら縄伸びをしていたので、実際の面積のほうが大きかった」と言ってました。
「縄伸び」ということは、「縄縮み」という言葉もあるのですか?
縄伸び、縄縮みとは、どういうことですか?

Answer (平成17年11月6日現在の情報です)

登記簿は、不動産取引の上で重要な公示手段であり、登記所に備え付けられています。

登記簿に記載される登記記録で、土地の表示に関する登記事項のなかには、「地番」、「地目」、「地積」 などがあります。

そして、「地積」欄に記載されている面積とは、公簿面積を指します。

この公簿面積は実測面積と一致し、正確であると思われがちですが、登記簿に記載されていても、この面積が正しいものとして公に認証されたわけではなく、むしろ、区画整理や耕地整理されたところを除き、実測面積と公簿面積が異なるのが一般的です。

実測面積が公簿面積より大きい場合を「縄伸び」、
逆に、実測面積が公簿面積より小さい場合を「縄縮み」といいます。

  • 縄伸び  実測面積 > 公簿面積
  • 縄縮み  実測面積 < 公簿面積

<公簿面積と実測面積が異なる理由>

(1)公簿面積の由来(土地台帳制度)

登記簿における地積は、歴史的には、明治初期の地租改正事業の際に作成された地券台帳が、明治17年の土地台帳制度創設時に土地台帳に引き継がれ、さらに、土地台帳が昭和35年に廃止され、登記簿と土地台帳が一元化された際、土地台帳に記載されていた土地の表示に関する記載(所在、地番、地目、地積)が登記簿の表題部に移記されたという経緯によるものです。
以上の経緯から、公簿面積は明治初年の地租改正事業の測量の成果が引き継がれていることが多いといえます。

(2)測量技術の未熟さ

明治政府は、全国各地に測量の専門家を派遣して測量をする人員面での余裕がなく、測量自体が素人である住民に委ねられていました。
このように、素人が行っていたことに加えて、当時の測量の技術水準、測量器械の精度、測量方法等が現在に比べてかなり遅れており、測量は稚拙な場合が多くありました。

(3)租税負担逃れ(縄伸び)

「縄伸び」という用語は、かつて検地の際、年貢の負担を軽減するため、実際よりも長めに目盛りをうった縄を使って、地積を小さめに測量したことに由来しています。
明治時代の土地台帳作成の際も、地租は地積を基準とされていたため、住民は税金の負担を軽くするために実測面積よりも少なく申告することが多く、縄伸びが縄縮みよりも圧倒的に多くなっています。
明治新政府は地租改正事業を早期に完了する必要があったことから、測量結果について十分なチェックがなされませんでした。

(4)縄縮みの場合

他方で、縄縮みは、田畑など耕作地で小作地の場合、地主が多少地租を多く納めても、小作料をそれ以上に納めさせればいいということで故意に公簿面積を多くした場合や、市街地で、売買の際に実測面積よりも多く申告して売買代金を高くするためになされたものなどがあります。

参考図書:『Q&Aでわかる「筆界特定制度」』著:鈴木仁史(日本法令)

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