趣味のページ
【俳 句】
俳句をはじめたのは、ちょっとしたことが契機であるが、強いて理由付けると、なるべく認知症になりたくないためである。
左脳と右脳をバランスよく使わなければ、脳の老化が進ということであるが、40才代までは多少スポーツもし、音楽鑑賞もしてきた。しかし以後約30年は無趣味、出無精で無粋な男になり、右脳は放置してきた。
これでは早く認知症になって、子供達や世間に迷惑をかけかねないし、老人ホームへ入所しても誰も相手にしてくれないだろうと思った。
俳句は五感を必要とするが、リハビリの散歩道でも、「見る」「嗅ぐ」「聴く」「味わう」「触れる」ようになり、日頃眠っていた五感が冴える。折角四季のある国に生まれ育ったので、四季折々の情景を、頭に焼き付けておきたいと思うのである。
記
【 2012年 】
「3月の追加句」
撫牛の眉間の艶や梅日和
「選者評」
撫牛とは、広辞苑によれば、素焼きで作った臥した牛の像。商家などで祀る。布団の上に置き、撫でれば吉事があると言われ、吉事あるごとに布団を作って重ねる。とある。
季語の梅日和の斡旋と相俟って、のどかな早春の情趣に貫かれた作品と思う。
上揚句には関係ないが、同時発表の{金縷梅の句}のある乎那の峯は、奥浜名湖に近い山の峯で、日本に自生する金縷梅の南限と言われ、静岡県の天然記 念物に指定されている。金縷梅は地味であるが春に先駆けて咲く花なので、万葉恋歌にも詠まれている。
木の根開く千年杉の息づかひ
春めくや一茶が謡ふわらべ唄
五平餅焦げる匂ひの雪解宿
金縷梅の捻れは緩き乎那の峯
「2月の追加句」
うすらひや世間の噂消え易し
臘梅や深き眠りの四睡庵
※四睡庵とは名古屋市の徳川園にあり、中国唐の時代の僧、豊干・寒山・拾得が虎と寄り添って眠れるという庵
阿尾城祉に濤立ち上がる鰤起し
「選者評」
鰤の漁期は12月から2月までで、雪時化の前後に漁獲が多く、北陸では師走の雷鳴を鰤起しと言って、このころ鰤漁が多いとされる。揚出句は、氷見市北部にある三方を海に囲まれ突出した崖の上の阿尾城祉を詠んだもので、在りし日の城のあり様がしのばれ、固有名詞の効いた作品である。
味噌蔵のかんぬきはずし春隣
寒椿少しはにかむ王妃かな
「1月の追加句」
冬ざれや川石おこす伊那の人
泡沫の夢の続きや花八ツ手
鮟鱇の一物無きをさらけけり
日本丸の船首の像や淑気満つ
「選者評」
日本丸は海の貴婦人と呼ばれる航海練習船である。その日本丸の船首にある手を合わす女性像「藍青」を見ての作という注釈があった。
油圧ショベルくの字くの字と去年今年
『師匠の句』
横向きに入る画材屋春夕焼け 堤 保徳
赤松の幹をのこせる夏の暮 堤 保徳
年輪の初めまんまる法師蝉 堤 保徳
インド洋より太々と冬の虹 堤 保徳
昨日より元気な富士山や花ミモザ 堤 保徳
師匠紹介
堤保徳氏は、昭和14年長野県生まれ、早稲田大学文学部卒業後、新潮社に入社するも、北杜夫氏の「どくとるマンボウ航海記」に憧れて貨物船のパーサーとなり、世界各国を訪れ、その後帰郷してNBS長野放送(初代代表者降旗徳弥)に入社、以後定年まで、放送部長、総務部長、編成部長の要職を勤めた。
在職中の平成元年から俳人宮坂静生氏(現在現代俳句協会会長、信州大学名誉教授)に師事し、平成16年第21回前山章受賞、「岳」事務局長に就任、現在「岳」編集同人、現代俳句協会甲信地区事務局長、句集に「インド洋の虹」(全223ページ)がある。
土地家屋調査士にとっては、平成6年全国土地家屋調査士松本大会のテレビ放映でお世話になっている。
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