◆ NO.188登記・測量のQ&A「農地の慣習上の筆界」について 2021/01/12(火) 09:15:36
前回は、「宅地の慣習上の筆界」について概要をお話しました。
今回は、「農地の慣習上の筆界」について概要をお話しします。
問い
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農地の慣習上の筆界にはどのようなものがあるのでしょうか?
答え
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農地の慣習上の筆界は、おおむね次の通りです。
(1)高低差のない農地間に畦畔がある場合
落し水がないときは、畦畔の中央。
落し水があるときには、水を落とす側の畦畔尻。
参考図1:
(2)高低差がある農地間に畦畔がある場合
傾斜がおおむね15度以上のときは、畦畔尻。
傾斜がおおむね15度以下のときには、畦畔の中央。
参考図2:
(3)階段畑(田)の場合
傾斜地の法尻。
参考図3:
以上、「農地の慣習上の筆界」について、4つの例を簡単にご紹介しまし
た。実際には、様々な条件によりこれとは違う場合も存在しますので、詳
しくは、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.187登記・測量のQ&A「宅地の慣習上の筆界」について 2020/12/28(月) 09:45:11
前回は、「海に突き出た土地の境」について概要をお話しました。
今回は、「宅地の慣習上の筆界」について概要をお話しします。
問い
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宅地の慣習上の筆界にはどのようなものがあるのでしょうか?
答え
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宅地の慣習上の筆界は、おおむね次の通りです。
■隣接地と擁壁等により区画されていない場合
(1)接近して家屋が建っている場合
両屋根の庇(ひさし)の中心。
参考図1:
(2)隣接地が空き地の場合
壁面後退規制がない場合は、軒先の先端。
参考図2:
※壁面後退規制とは、建物の密集を防ぐ目的で、建物の壁から境界までの
最小限の距離を定めたものです。用途地域が第一種低層住居専用地域、第
二種低層住居専用地域にある土地が対象となっています。
■隣接地と擁壁(ブロック積)により区画されている場合
(3)擁壁下に側溝がない場合
擁壁の基礎の外側。
参考図3:
(4)擁壁下に側溝がある場合
擁壁下の下端。
参考図4:
以上、「宅地の慣習上の筆界」について、4つの例を簡単にご紹介しまし
た。実際には、様々な条件によりこれとは違う場合も存在しますので、詳
しくは、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.186登記・測量のQ&A「海に突き出た土地の境」について 2020/12/14(月) 09:42:24
前回は、「海・川・湖と陸地の境」について概要をお話しました。
今回は、「海に突き出た土地の境」について概要をお話しします。
問い
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下図のような海に突き出た土地の扱いはどのようになるのでしょうか?
参考図1:
答え
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個人の権利や義務など、私人間の法律関係を定める法律によって認められ
た権利を私権といいます。
参考図1のように、海に突き出た土地の場合、私権の及ぶ範囲は「A」と考
えられます。
参考図1の土地は現状では海に突き出た形になっていますが、時を遡ると、
参考図2のような通常の土地だったのではないでしょうか。
参考図2:
最初が参考図2のような普通の陸地であったとすると、参考図3のように長
い年月の間に海に接する部分が浸食され海に突き出た形になったと考えら
れます。
参考図3:
参考図2のような陸地が、浸食され海に突き出た形になったとしても、土
地利用の実態が変わらなければ、権利の範囲も変わらないと考えられます。
尚、利用実態や地形条件によっては、これとは違う判断がなされる場合も
あります。
以上、「海に突き出た土地の境」について簡単にご紹介しました。詳しく
お知りになりたい場合は、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.185登記・測量のQ&A「海・川・湖と陸地の境」について 2020/11/27(金) 09:47:03
前回は、「筆界未定地」について概要をお話しました。
今回は、「海・川・湖と陸地の境」について概要をお話しします。
問い
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海や川のような水面と陸地との境には、どのような決まりがあるのでしょ
うか?
答え
───────────────
海や河川、沼や湖といった、国が管理している公共の水面のことを「公有
水面(こうゆうすいめん)」といいます。
陸地は、公有水面に覆われていない地表をいいます。
公有水面は登記の対象となりませんが、陸地は登記の対象となりますので、
両者の境を区別する必要があり、次のように定められています。
公有水面と陸地との境は、
(1)潮の満ち引きで差の出る水面については、春分、秋分における満潮
位
(2)潮の満ち引きのない河川等については、高水位
と定められています。
参考図:
埋め立てなどによって新たに土地ができた場合は、上記の定めに従って陸
地との境が判断されますが、津波や地震などによって陸地が海没した時な
どは、これとは違う判断が下される場合もあります。
尚、水面下の土地であっても、「池沼、運河用地、水道用地、用悪水路、
ため池」等の地目を持つ土地の場合は登記の対象となります。
以上、「海・川・湖と陸地の境」について簡単にご紹介しました。詳しく
お知りになりたい場合は、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.184登記・測量のQ&A「筆界未定地」について 2020/11/17(火) 09:09:38
前回は、「傾斜地の筆界」について概要をお話しました。
今回は、「筆界未定地」について概要をお話しします。
問い
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境界が確認できない土地があるそうですが、どういうものなのでしょうか?
答え
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土地の戸籍に当たる「地籍」を調査する地籍調査の際に、境界(筆界)が
確認できずに、未定のまま処理されてしまう場合があります。
そのような土地を「筆界未定地(ひつかいみていち)」と呼びます。
例えば、1番の土地、2番の土地、3番の土地が筆界未定だと、地籍図に
は〈1+2+3〉と記載されるだけで境界線は表示されません。
参考図:
※地籍調査は、主に市町村が主体となって行う調査で、一筆ごとの土地の
所有者、地番、地目、境界の位置、面積などが調査されます。
境界を確認できない理由としては、筆界について所有者間に紛争があった
り、現地で調査を行った際に土地所有者に立ち会ってもらえない場合等が
あります(他にも様々な理由があります)。
もし、全ての境界が決定するまで地籍調査を終了できないとしたら、地籍
調査そのものが進まなくなってしまいます。そのような事態を避けるため
に筆界未定の処理が定められました。
しかし、筆界未定地として処理された土地は、そのままでは、原則として
分筆できないなど、土地の取引に支障を来す場合があります。
筆界未定地の取引を行う際には、先に筆界未定を解消する必要があります。
以上、「筆界未定地」について簡単にご紹介しました。筆界未定の解消方
法や例外的な取扱いなど、詳しくお知りになりたい場合は、お近くの土地
家屋調査士にご相談ください。
◆NO.183登記・測量のQ&A「傾斜地の筆界」について 2020/10/27(火) 12:16:56
前回は、「所有権界」について概要をお話しました。
今回は、「傾斜地の筆界」について概要をお話しします。
問い
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土地と土地の境が傾斜地になっている場合、両者の筆界はどこになるので
しょうか。
答え
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土地の筆界は、その土地がはじめて登記簿に記載されたときに創設され、
その後、分筆や合筆の登記がなされた際に移動します。
ですから、一概には言えないのですが、一般的な慣習によれば、傾斜地部
分は上部の土地の一部ということが多いようです。例えば、参考図のよう
な場合には、C点が筆界であることが多いようです。
参考図:
しかし、実際に筆界がどこに来るのかはっきりさせるには、公図や地積測
量図、その他の調査や測量をする必要があります。
筆界がどこなのかはっきりしないまま放置しておくと、境界紛争に発展し
かねませんので、もし、筆界が不明な場合には、お近くの土地家屋調査士
にご相談ください。
◆NO.182登記・測量のQ&A「所有権界」について 2020/10/14(水) 09:04:35
前回は、「筆界」について概要をお話しました。
今回は、「所有権界」について概要をお話しします。
問い
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土地の境界には「筆界」の他に、「所有権界」と呼ばれるものがあるそう
ですが、どのような違いがあるのでしょうか?
答え
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筆界(ひっかい)とは、法務局に登記されている地番と地番の境のことで、
分筆登記や合筆登記といった法律上の手続きをしなければ変更することが
できません。筆界は「公法上の境界」とも呼ばれます。
所有権界(しょゆうけんかい)は、土地の所有権の及ぶ範囲の境を意味し、
お隣さんとの話し合いで自由に決めることができます。所有権界は「私法
上の境界」とも呼ばれます。
「筆界」と「所有権界」は、両者が一致していれば問題はないのですが、
一致しない状態になると、トラブルを招く恐れが出てきます。
例えば、参考図のように、変更前の境界(登記された筆界)のままだと土
地の使い勝手が悪いので、お隣さんと話し合い、お互いの土地の一部を交
換して、使いやすい形に境界を変更したと想定しましょう。
参考図:
このとき、変更結果をまだ登記(分筆・所有権移転)していない状態の境
界が所有権界です。
お隣さんとの話し合いで境界を変更しても、法務局に登記された境界(筆
界)が変更前のままだと「筆界」と「所有権界」が一致していない状態に
なります。
このまま放置しておくと、第三者に売買する場合や、本人が亡くなって相
続が発生した場合等に境界紛争に発展しかねません。
この場合、境界の変更結果を登記(分筆・所有権移転)して「所有権界」
と「筆界」を一致させる事でトラブルを防止することができます。
もし、お隣さんとの境界が「筆界」なのか「所有権界」なのかわからない
場合には、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。
所有権界と筆界とを一致させるには、登記手続が必要になります。この場
合も、土地家屋調査士がお役に立ちます。
以上、「所有権界」について簡単にご紹介しました。詳しくお知りになり
たい場合は、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.181登記・測量のQ&A「筆界」について 2020/09/29(火) 09:23:27
前回は、「登記の順番」について概要をお話しました。
今回は、「筆界」について概要をお話しします。
問い
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土地の境界を「筆界」と呼ぶこともあるそうですが、「筆界」とはどうい
うものなのでしょうか?
答え
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「筆界(ひっかい)」とは、法務局に登記されている、土地の地番と地番
の境のことで、土地の取引を行う場合に、とても重要な役割を果たします。
不動産登記法では、筆界で囲まれたひとつの土地を「一筆の土地」と呼び、
それぞれに地番をつけることになっています。
「筆界」は法律によって定められた境界ですので、個人の意志で勝手に変
更することはできません。筆界を変更するには、分筆や合筆といった登記
手続が必要になります。
最初に筆界が定められたのは明治時代ですが、長い年月の間に、土地の所
有者が変わったり、土地の利用形態が変わったりして、現況の境界線が、
いつのまにか真正な筆界と違っている場合も多く存在します。
現況の境界線が筆界と違ったまま放置しておくと、第三者に売買する場合
や、本人が亡くなり相続が発生した後等に境界紛争に発展しかねません。
現況の境界線と筆界とを一致させておくことは、不動産トラブルを防ぐ役
割もあります。
筆界は法務局に備え付けられている図面で確認することができます。
もし、現況の境界線が「筆界」と一致しているのかどうかわからない場合
には、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。
現況の境界線と筆界とを一致させるには、登記手続が必要になります。こ
の場合も、土地家屋調査士がお役に立ちます。
以上、「筆界」について簡単にご紹介しました。詳しくお知りになりたい
場合は、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.180登記・測量のQ&A「登記の順番」について 2020/09/11(金) 11:59:59
前回は、「登記される事項」について概要をお話しました。
今回は、「登記の順番」について概要をお話しします。
問い
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住宅ローンを利用して建物を新築する際には、複数の登記手続きが必要に
なるそうですが、どんな順番で行われるのでしょうか?
答え
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銀行などの住宅ローンを利用して建物を新築する場合には、建物表題登記、
所有権保存登記、抵当権設定登記が必要になります。
今まで存在しなかった建物を新築するわけですから、登記記録も新たに作
成される事になります。登記記録の作成には順番があります。
不動産の登記記録は、表題部・権利部甲区・権利部乙区の3部構成になっ
ていて、それぞれ次の箇所に登記されます。
建物表題登記 ----- 表題部
所有権保存登記 ----- 権利部甲区
抵当権設定登記 ----- 権利部乙区
参考図(建物の登記記録):
新たに登記記録を作成する場合、権利に関する登記(甲区・乙区)は、表
題部が無ければできませんし、乙区は、甲区が無ければできません。
つまり、
(1)建物表題登記
(2)所有権保存登記
(3)抵当権設定登記
の順番で登記手続する必要があります。
また、これらの登記手続を代理できるのは、次の資格者です。
建物表題登記 -----土地家屋調査士
所有権保存登記----司法書士
抵当権設定登記----司法書士
尚、既存の建物に抵当権を設定する場合でも、既存建物が登記されていな
ければ、今回紹介した順番で登記することになります。
以上、「登記の順番」について簡単にご紹介しました。詳しくお知りにな
りたい場合は、お近くの土地家屋調査士におたずねください。
◆NO.179登記・測量のQ&A「登記される事項」について 2020/08/27(木) 09:42:40
前回は、「表題登記」について概要をお話しました。
今回は、「登記される事項」について概要をお話しします。
問い
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不動産の登記記録にはどのような情報が記載されるのでしょうか?
答え
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不動産の登記記録には、土地と建物の2種類があり、土地については1筆(
1区画)ごとに、建物については1個ごとに作成されます。
登記記録は、土地も建物もそれぞれ「表題部」と「権利部」に分かれてい
ます。さらに権利部が「甲区」と「乙区」に分かれていますので、全体と
しては、表題部・権利部甲区・権利部乙区の3部構成になっています(権
利の登記がなされていない場合には表題部だけの場合もあります)。
登記記録のそれぞれの部分には次のような情報が記載されています。
■表題部
土地:所在・地番・地目(土地の現況)・地積(土地の面積)など
建物:所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積など
■権利部(甲区)
所有者に関する事項が記載されています。
その不動産の所有者は誰で、いつ、どんな原因(売買、相続など)で所有
権を取得したかがわかります。
所有権移転登記、所有権に関する仮登記、差押え、仮処分など
■権利部(乙区)
抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
抵当権設定、地上権設定、地役権設定など
不動産の登記記録は誰でも手数料を納付して自由に見たり写しをもらうこ
とができるようになっています。
登記記録の写し(全部事項証明書)の参考イメージがありますので参考に
してください。
土地の登記記録:
建物の登記記録:
以上、「登記される事項」について簡単にご紹介しました。詳しくお知り
になりたい場合は、お近くの土地家屋調査士におたずねください。